Googleスパムアップデート観測記|2026年6月、サーバーログに来た「偽AIクローラー」
2026年6月24日、Googleが「June 2026 spam update」を公開しました。対象は全世界・全言語で、ロールアウトには約2日かかっています。
Googleは検索結果の中でスパムを取り締まっています。一方、AI観測ラボが日々確認しているサーバーログには、検索結果とは別の場所で起きているスパムも記録されていました。AIクローラーを名乗る、正体不明のアクセスです。
この記事では、Googleスパムアップデートの歴史を整理したうえで、2026年6月のタイミングでサーバーログに何が来ていたかを、実測データとともにお伝えします。
この記事でわかること|📖:約4分
- Googleがスパムアップデートで何を取り締まっているか
- 2021年から2026年まで、スパムアップデートがどう変化してきたか
- 2026年6月のスパムアップデートで何が起きたか
- AIクローラーを騙る偽アクセスが、実際にサーバーログでどう見えるか
Googleスパムアップデートの歴史
Googleは近年、スパムアップデートを何度も実施してきました。検索結果から不正な手法や低品質なコンテンツを減らすために、スパム検出システムを継続的に改善しています。
2021年から2022年にかけては、リンクスパムへの対応が大きなテーマのひとつでした。不自然な被リンクや、広告・アフィリエイトリンクの扱いなど、リンクによって検索順位を操作しようとする行為への対策が進みました。
2023年10月のアップデートでは、対象範囲がさらに広がりました。Googleは、より多くの言語とスパムの種類に対応できるようにしたと説明しています。英語圏だけでなく、複数の言語で発生するクローキング、ハッキング、自動生成、スクレイピングなどのスパム対策が強化された時期です。
大きな転換点は2024年3月です。Googleはこのとき、次の3つのスパムポリシーを新しく明確化しました。
- 期限が切れたドメインを買い取り、過去の評価を利用して低品質な内容を掲載する行為
- 検索順位の操作を目的として、大量の低価値なページを作る行為
- 評価の高いサイトの一部を借りて、無関係な内容を掲載する行為
それまでのスパム対策は、リンク操作やハッキング、自動生成コンテンツなど、個別の不正手法への対応として語られることが多くありました。2024年3月以降は、コンテンツの作り方やサイトの運営方法そのものに踏み込むようになっています。
2026年に入ってからも、スパムポリシーの範囲は広がり続けています。2026年4月、Googleはブラウザの戻るボタンを妨害してユーザーを意図しないページへ誘導する手法を、スパムポリシー違反として明確にしました。この方針は2026年6月15日から適用されています。

つまりはGoogleのスパム対策は、検索順位を直接操作する行為だけでなく、ユーザーを欺くような挙動そのものにも広がってきています。スパムアップデートの歴史を見ると、Googleが取り締まる対象は、リンクからコンテンツ、サイト運営、そしてユーザー体験へと広がっていることがわかります。
| 時期 | アップデート名 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 2021年7月 | July 2021 link spam update | 不自然な被リンクの評価を無効化 |
| 2023年10月 | October 2023 spam update | 多言語・複数のスパムタイプへ対応範囲を拡大 |
| 2024年3月 | March 2024 spam update | 期限切れドメイン悪用・量産コンテンツ・サイト評判悪用の3ポリシーを明確化 |
| 2026年4月 | スパムポリシー更新 | 戻るボタンを妨害する手法を違反行為として明示(2026年6月15日施行) |
| 2026年6月 | June 2026 spam update | 全世界・全言語対象、約2日間でロールアウト完了 |
2026年6月のスパムアップデート
Googleは2026年6月24日、「June 2026 spam update」を公開しました。対象は全世界・全言語で、ロールアウトは2026年6月26日に完了しています。Google Search Status Dashboard上の期間は、2日1時間です。

2026年に入ってからのスパムアップデートは、今回あわせ2回目です。1回目は2026年3月で、このときは19時間半で完了しています。6月のアップデートも比較的短い期間で完了したスパムアップデートでした。
今回のアップデートについて、Googleは新しいスパムポリシーを追加したとは案内していません。Googleは、スパム検出の自動システムは常時稼働しており、大きな改善を行ったときにスパムアップデートとして共有すると説明しています。そなので、今回も既存のスパム検出システムを改善する更新として見るのが自然です。
だがしかし、スパムは検索結果の中だけにあるわけではない
Googleのスパムアップデートは、主に検索結果の品質を守るための取り組みです。ですが、スパムと呼べる行為は、検索結果の中だけで起きているわけではありません。
AI観測ラボでは、サーバーに直接記録されるアクセスログを日々確認しています。2026年6月のスパムアップデートが展開されていた期間とその直後、ログの中に気になるアクセスが2件ありました。
1件目は、6月25日、June 2026 spam updateのロールアウト期間中に確認されたアクセスです。1つのIPアドレスが、約2分46秒の間に412回のアクセスを行い、その間に13種類の異なるクローラー名を名乗っていました。
2件目は、6月28日、ロールアウト完了から2日後に確認されたアクセスです。別のIPアドレスが、約1分34秒の間に254回のアクセスを行い、こちらも同じ13種類のクローラー名を名乗っていました。
この2件がGoogleのスパムアップデートと直接関係しているとは言えません。ただ、Googleが検索結果のスパム対策を進めている同じ時期に、サーバーログ側ではAIクローラーを名乗る不審なアクセスが観測されていました。
2つのIPアドレスが名乗ったクローラー名は、次の通り完全に一致しています。
- Amazonbot
- Applebot
- Baiduspider
- CCBot
- ChatGPT-User
- DuckDuckBot
- GPTBot
- Google-CloudVertexBot
- GoogleOther
- OAI-SearchBot
- PerplexityBot
- YandexBot
- bingbot
本物のクローラーやユーザーエージェントは、それぞれ異なる目的や運営元を持っています。1つのIPアドレスが、数分の間に13種類もの名前を切り替えながらアクセスする動きは、通常のクローラーの挙動としては考えにくいものです。

アクセス元の組織を確認したところ、2つのIPアドレスは、どちらもレンタルサーバーやVPSを提供するホスティング業者のものでした。GoogleやOpenAIなど、クローラーを運営している企業のものではありません。また、一方の組織に関しては、以前記事にした偽クローラーと同じホスティング業者でした。
偽AIクローラーは、なぜ問題なのか
クローラー名を偽って名乗るアクセスには、いくつかの問題があります。

1つ目は、サイト運営者の判断を誤らせる可能性です。robots.txtでクローラーごとにアクセスの許可・不許可を設定していても、名前を偽られると、本来ブロックしたい相手を通してしまう場合があります。逆に、不審なアクセスへの対応を急ぐあまり、本物のクローラーまで誤ってブロックしてしまう原因にもなります。
2つ目は、アクセス解析への影響です。GA4のようなアクセス解析ツールは、基本的にJavaScriptが実行されたアクセスを中心に記録します。なので、一般的なクローラーによるアクセスはGA4には残りにくく、サーバーログを見ないと確認できない場合があります。
さらに名前を偽られると、サーバーログを見ていても、どのアクセスが本物でどのアクセスが偽物かを見分けにくくなります。
3つ目は、目的が読み取りにくいことです。本物のクローラーは、それぞれ異なる目的でサイトを訪れます。検索結果に表示するため、AIの回答に利用するため、ユーザーの質問に答えるためなど、少なくとも運営元やUser-Agentの説明から、ある程度の目的を推測できます。名前を偽ったアクセスの場合、何のためにサイトの情報を集めているのかが分かりません。
2026年6月に見つかった2件のアクセスも、13種類のクローラー名を使い分けていた目的は分かっていません。ただし、短時間で多くのページに機械的にアクセスしていた点から、robots.txtの設定やクローラーごとの対応が、名前でどこまで機能しているかを確かめようとしていた可能性も否定できません。
Googleのスパム対策と、サーバーログの実測をあわせて見る
Googleのスパムアップデートは、検索結果の品質を守るための取り組みです。ポリシーに違反する行為を検出し、検索結果に反映させることで、ユーザーが不正な手法や低品質なコンテンツに触れにくくすることを目的としています。
対して、サーバーログには、検索順位には表れない情報が記録されています。どのIPアドレスが、いつ、どのクローラー名を名乗ってサイトを訪れたかという、アクセスそのものの記録です。GA4のようなアクセス解析ツールでは、こうしたアクセスの多くが計測から漏れる仕組みになっており、詳しくはGA4のPVが減ってもAIクローラーは来ている?計測の死角と確認方法で整理しおります。
2026年6月のスパムアップデートが展開されていた期間に、13種類のクローラー名を使い分けるアクセスが見つかったことは、検索結果側の対策とは別の場所で、偽装という問題が起きている証拠になります。
検索順位の変動だけを見ていると、順位が動いていないサイトはスパムとは無関係だと考えてしまいがちです。ですが、サーバーログを見ると、順位に関係なく、サイトにはさまざまなアクセスが来ていることが分かります。今回見つかった2つのIPアドレスも、短時間で多くのページへ機械的にアクセスしていました。
Googleのスパムアップデートという検索結果側の動きと、サーバーログという実測側の記録を両方確認することで、Web上で起きているスパムの全体像に近づけると考えられます。
まとめ
Googleは2026年6月24日、June 2026 spam updateを公開しました。ロールアウトには約2日かかりました。今回、新しいスパムポリシーの追加は案内されていないため、既存のスパム検出システムを改善する更新と見るのが自然です。
2021年以降の流れを振り返ると、Googleのスパム対策ではリンク操作への対応も大きなテーマとなってきました。
2024年3月には、期限切れドメイン悪用・量産コンテンツ・サイト評判悪用という3つのポリシーが明確になりました。
さらに2026年には、ブラウザの戻るボタンを妨害する手法もスパムポリシー違反として扱われるようになっています。
取り締まりの対象は、順位操作だけでなく、ユーザーを欺く挙動全体へと広がってきています。
そして、AI観測ラボのサーバーログには、検索結果の外側で起きているスパムの痕跡が残っていました。2026年6月、2つのIPアドレスが、数分の間に13種類のクローラー名を使い分けてアクセスしていたことが分かりました。
アクセス元は、どちらもレンタルサーバーやVPSを提供するホスティング事業者のネットワークで、該当するクローラーを運営する企業のものではありませんでした。
今回のスパムアップデートが、この偽装アクセスを直接対象にしたものかは公表されていません。ただ、Googleが検索結果側でスパム検出を改善し続ける一方で、サーバーログ側にはクローラーを騙るアクセスが確かに記録されています。検索順位という結果と、サーバーログという実測を両方確認することが、Web上のスパムの全体像をつかむ手がかりになると考えられます。
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