AI最適化 2026.03.20 11 min read

ゼロクリックで広告費が溶けている—AI Overview時代のGoogle広告の現実

ゼロクリックで広告費が溶けている—AI Overview時代のGoogle広告の現実
OBS-LOG / 2026.03.20
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Google広告の予算は変えていない。なのに、問い合わせが減っている。

「気のせいかな」と思いながらGoogle広告の管理画面を開くと、クリック数は確かに落ちている。でも原因がわからない。キーワードが悪いのか、広告文が古いのか、それとも競合が増えたのか。

原因はそのどれでもない可能性が高いです。

2025年以降、Google広告の効率が落ちている本当の理由は「ユーザーがGoogleに来る前に、すでに買うものを決めてしまっている」からです。意思決定の場所がGoogleの外——ChatGPTやPerplexityといったAIツール——に移っています。

広告が表示される検索結果画面にたどり着いたとき、ユーザーの頭の中にはすでに「この商品を買う」という答えがあります。候補に入っていないブランドの広告は、見えていても見られていない。クリックされないまま、広告費だけが消えていきます。

ゼロクリック問題はSEOだけの話ではありません。Google広告にも、静かに、確実に侵食しています。

この記事でわかること|📖:約8分

  • Google広告のクリック率が落ちている本当の原因
  • 「Googleの外」でユーザーの意思決定が完了するメカニズム
  • インプレッション増・クリック減・CPC高止まりが同時に起きる理由
  • AIに引用されると広告効果が逆転する理由とその数字

ゼロクリックとは何か

ゼロクリックとは、Googleで検索したユーザーが検索結果画面のどのリンクもクリックせずに離脱する現象です。

以前からフィーチャードスニペット(※強調スニペット:要約を検索結果の上に配置すること)やナレッジパネル(検索したワードの関連がまとまって表示される事象)によってゼロクリックは存在していました。しかし2024年以降、GoogleがAI Overview(AIによる検索結果の要約)を本格展開したことで、その規模が一気に拡大しています。

2025年時点で、Google検索の約58〜65%がクリックなしで終わっています。5年前の25%から倍以上に膨らんでいます。

AI Overviewは検索結果の最上部に表示され、複数のサイトの情報をまとめて要約します。ユーザーは知りたいことをその場で得られるため、わざわざリンクをクリックする理由がなくなります。

ゼロクリックの仕組みと、AIクローラーがどうサイトを読んでいるかについては
【保存版】AI検索はどうやってあなたのサイトを読んでいるのか?
で詳しく解説しています。今回はゼロクリックがGoogle広告にどう影響するかに絞って話を進めます。

ユーザーはGoogleに来る前に、すでに答えを持っている

ゼロクリック問題はSEOだけの話だと思われがちです。でも実際は、Google広告にとってより深刻な構造変化が起きています。

問題の本質は「Googleの検索結果でクリックされない」ことではありません。「Googleに来る前に、ユーザーの意思決定が終わっている」ことです。

ユーザーの行動が変わった

以前、商品を検討するユーザーはGoogleで検索することから始めていました。「ミラーレスカメラ おすすめ」と入力して、比較記事を読んで、レビューを調べて、ECサイトで価格を確認する。このフローの中に広告が刺さっていました。

今、同じユーザーはまずAIに聞きます。

「予算30万でポートレート撮影メインならソニーとニコンどっちがいい?」
「α7C IIとZ6IIIって動画性能どう違う?」
「Raicaって実際どうなの?使ってる人の評判まとめて」

ChatGPTやPerplexityは、これらの質問に対してスペック比較・価格帯・ユーザー評価をまとめて回答します。ユーザーはAIとの会話の中で比較・検討・絞り込みを完了させます。Googleに来るのはその後です。すでに「α7C IIを買う」と決めた状態で、型番を直接検索します。

広告が表示される場所が変わった

購買フローを並べると、何が起きているかが一目でわかります。

以前の購買フロー:Google検索から比較サイトを経てECサイトで購入。広告が刺さるポイントが明確に存在していた
以前の購買フロー:比較・検討フェーズに広告が刺さっていた
今の購買フロー:ChatGPT・Perplexityで検討完了後にGoogle検索。広告は表示されるがスルーされる
今の購買フロー:Googleに来た時点でユーザーの答えはすでに決まっている

広告が表示されるタイミングで、ユーザーの頭の中にはすでに「これを買う」という答えがあります。候補に入っていないブランドの広告は、表示されても見られていません。看板は見えている。でもお店には入ってもらえない。広告費だけが消えていきます。

広告費が溶けるメカニズム——数字で見る現実

「なんとなく広告の効きが悪くなった」という感覚は、データで裏付けられています。

2024年6月から2025年9月にかけて、Seer Interactiveが3,119件の情報収集系クエリ・2,510万インプレッションを分析した調査があります。結果は広告主にとって厳しいものでした。(参照:AIO Impact on Google CTR: September 2025 Update|Seer Interactive

クリック率(CTR)の変化

オーガニック検索のCTR:1.76% → 0.61%(61%減)
有料広告のCTR:19.7% → 6.34%(68%減)

見落としがちなのは、オーガニックよりも有料広告のほうがCTR低下が大きいという点です。お金を払って表示している広告のほうが、より大きくクリックされなくなっています。

さらに深刻なのが2025年7月のデータです。有料広告のCTRがわずか1ヶ月で11%から3%へと急落しました。GoogleがAI Overviewの表示範囲を一気に拡大したタイミングと重なっています。

インプレッションは増えている

奇妙に見えるのが、インプレッション(広告の表示回数)は前年比49%増えているという点です。広告は以前より多く表示されている。なのにクリックは30%減っています。

これはAI Overviewが検索結果の上部を占有することで起きる構造です。

広告費が溶けるメカニズム:AI Overviewが検索結果上部を占有し、インプレッションはカウントされるがクリックされず、同じ予算で獲得できる件数が激減する
広告費が溶けるメカニズム:インプレッションは増えてもクリックは減り、CPCは高止まりする

看板の前を通る人は増えた。でも看板を見て立ち止まる人は減った。広告費は「通過する人数」に対して払われているため、費用対効果だけが悪化していきます。

CPCが下がらない理由

「クリックが減ったならCPCも下がるはず」と思うかもしれませんが実際は逆です。

AI Overviewによって情報収集フェーズのユーザーがGoogleから離れると、Googleに残るのは購買意図が高いユーザーだけになります。広告主はみな、購買直前のユーザーを狙ってオークションに参加します。入札が集中するため、CPCは高止まりします

クリック数が減り、CPCが上がり、同じ予算で獲得できる件数が減る。広告費が「溶けている」という表現がぴったりな状態です。

AIに引用されると、広告効果が逆転する

ここまで読むと「Google広告はもう終わりなのか」と感じるかもしれません。でも話はここで終わりません。

同じSeer Interactiveの調査に、広告主にとって希望になるデータが含まれています。

AI Overviewに引用されたサイト:有料広告のCTRが91%高い
AI Overviewに引用されたサイト:オーガニックのCTRが35%高い

引用されているサイトと引用されていないサイトで、同じ検索結果画面に広告が出ているのに、クリック率に約2倍の差が生まれています。

なぜ引用されると広告が効くのか

引用されない場合:ブランド認知ゼロの状態で広告が表示されスルーされる
引用されない場合
引用された場合:ブランド認知済みの状態で広告が表示されCTRが91%増加する
引用された場合

仕組みはシンプルです。

ユーザーはAI Overviewの要約を読みます。そこで引用されているサイト名・ブランド名を目にします。「このブランドは信頼できる情報源として選ばれている」という認識が無意識に生まれます。

その直後に同じブランドの広告が表示される。ユーザーはすでにそのブランドを知っている状態でクリックします。

これはテレビCMを見た後に店頭で同じ商品を見つけたときの心理と同じです。知っているブランドは信頼できる。信頼できるブランドの広告はクリックされやすい。

「引用される」ことが新しい広告戦略になる

従来のGoogle広告戦略はこうでした。

キーワードを選ぶ → 入札額を決める → 広告文を書く → 表示される → クリックされる

AI Overview時代の広告戦略はこうなります。

AIに引用されるコンテンツを作る → AI Overviewでブランドが露出する → 広告のCTRが上がる → 同じ予算でより多くの獲得ができる

広告の外側——コンテンツの質とAIへの最適化——が、広告そのものの効果を左右する時代になっています。

引用されるサイトの条件

AIに引用されやすいサイトには共通点があります。自社で計測したデータ・実験結果・現場の一次情報を持つサイトです。「どこかで見たような情報をまとめただけ」のコンテンツは引用候補から外れていきます。

具体的には、特定のジャンルに特化して継続発信しているサイト独自の調査データや実測値を記事に盛り込んでいるサイト、そして構造化データで情報を整理しているサイトが引用される傾向があります。

AIがどのようなサイトを引用するかの仕組みについては
ChatGPTに引用されるサイトの条件|クロールの仕組みとデータで解説
で詳しく解説しています。

まとめ——広告費を守るために今できること

Google広告の効率が落ちている原因は、キーワードでも広告文でもありません。ユーザーの意思決定の場所が、Googleの外に移っています。

整理すると下記の通りです。

① ユーザーはChatGPT・PerplexityでAIに質問して比較・検討を完了させる
② Googleに来るのは「答えが決まった後」
③ AI Overviewが検索結果上部を占有し、広告はスルーされる
④ インプレッションは増え、クリックは減り、CPCは高止まりする
⑤ 同じ予算で獲得できる件数が減り続ける

ただし、この構造には出口なるものがあります。

AI Overviewに引用されたサイトは、引用されていないサイトと比べて有料広告のCTRが91%高くなります。AIに引用されることが、広告効果を守る最も現実的な手段になっています。

「AIに引用されるコンテンツとはどういうものか」「どう設計すればAIに選ばれるのか」については、次の記事で具体的に解説します。

広告費を守りたいなら、広告の外側を変える必要があるといえるでしょう。

この記事のポイント

・Google広告のCTRはAI Overview導入後、有料広告で68%・オーガニックで61%低下している
・ユーザーの比較・検討フェーズはChatGPT・PerplexityなどAIツールに移行している
・Googleに来た時点でユーザーの答えはすでに決まっており、候補外の広告はスルーされる
・AI Overviewに引用されたサイトは引用されていないサイトより有料CTRが91%高い
・広告効果を守るには「AIに引用されるコンテンツ設計」が不可欠になっている

ゼロクリック問題の全体像については
【保存版】AI検索はどうやってあなたのサイトを読んでいるのか?
もあわせて読んでみてください。

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