AI最適化 2026.06.29 21 min read

GA4の数字、信じていいの?AI流入はDirect・Organicに混ざる

GA4に出ない流入がある——ゼロクリック時代の計測の死角サムネ
OBS-LOG / 2026.06.29
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GA4の数字、見えていない部分があるかもしれません。

GA4は、Googleが提供するアクセス解析ツールです。これまで多くのサイト運営者は、GA4とSearch Consoleを見れば、ユーザーがどこから来て、どのページを見て、どのように行動したのかをある程度把握できていました。

結論から言うと、今のGA4は「AI経由の流入」をかなり取りこぼしています。

ChatGPTやGoogle AI Modeからのアクセスは、正しく計測されず「Direct」や「Organic」など人間がアクションした定義に混入します。結果、気づかないまま数字を誤読しているケースが増えています。

この記事では、GA4で見えていない流入の正体と、仕組み、現状できる対処法まで整理します。

この記事でわかること|📖:約7分

  • GA4のDirectに「AI経由流入」が混入する仕組みと理由
  • Google AI ModeがSearch Consoleで計測できない現状
  • 業種別3サイトの実データで見るDirect比率の異常値
  • 現状できるAI流入の推定方法と代替指標の考え方

GA4のDirectに「AI流入」が混入する仕組み

GA4では、ChatGPTアプリやGoogle AI Modeからのアクセスが、正しく判別されずDirectに混入するケースがあります。

AIによるアクセスは「どこから来たか」を示す情報が送られないためです。

GA4は通常、ブラウザが送信する「リファラー(referrer)」という情報をもとに流入元を判定しています。リファラーとは「どのページからクリックしてきたか」を示すデータです。

たとえばGoogle検索結果からのアクセスであれば「google.com」というリファラーが送られ、GA4では「Organic Search」として分類されます。

しかし、リンクに「noreferrer」が指定されていたり、アプリ内ブラウザ(WebView)経由の場合、このリファラーが送信されません。

その結果、GA4は流入元を特定できず、すべてDirectとして処理します。

リファラーがある場合とない場合の違い
リファラーの有無でGA4の分類が変わる

リファラーがある場合とない場合の違い

流入元 リファラー GA4の分類
Google検索結果 google.com Organic Search
ChatGPT(ブラウザ) chatgpt.com Referral(計測できる)
ChatGPT(アプリ) なし(WebView) Direct(混入)
Google AI Mode Google検索内のリンク Organic Searchに混在しやすい
Google AI Overview google.com(区別不可) Organic Search(混入)
Perplexity(ブラウザ) perplexity.ai Referral(計測できる)

※ Google AI Modeのnoreferrerバグは2025年5月に修正済み。GSCでは2026年6月から生成AI専用レポートのテストが始まっているが、英国の一部サイト限定でクリックデータは含まれない(2026年6月時点)。

特に問題なのは2つのパターンです。

1つ目はChatGPTのスマートフォンアプリからの流入です。アプリ内のWebViewはリファラーを送信しないため、ChatGPT経由のアクセスでもGA4ではDirectとして記録されます。

2つ目はGoogle AI Overviewからの流入です。AI OverviewはGoogle検索と同じドメイン上に表示されるため、引用からのクリックも通常の「google / organic」として記録され、区別できません。

つまりGA4のレポートには、AIに起点を持つ流入が「Direct」と「Organic」に分かれて混入しているということです。

① AI OverviewのクリックはOrganicに混在する

Search Consoleでは、AI Overviewからのクリックと通常の検索結果からのクリックが同じ「ウェブ」検索タイプにまとめて表示されます。

なので、AI Overview経由の流入を個別に切り分けることができません。

たとえば「表示回数は増えているのにCTRが下がっている」という場合でも、それがAI Overviewの影響なのか、単純に順位が下がったのか、Search Consoleだけでは判断できない状態になります。

② AI ModeはSearch Consoleで別集計されていない

Googleが2025年に導入したAI Modeは、長らくSearch Consoleで通常の検索トラフィックと混在したままでした。

この状況は2026年6月3日に一部変わりました。GoogleがSearch Consoleに「生成AIパフォーマンスレポート」を追加し、AI OverviewsやAI Modeでの表示回数(インプレッション)を専用ビューで確認できるようになっています。

ただし現時点ではクリック数・CTR・検索クエリは含まれておらず、表示回数の可視化にとどまります。さらに展開は英国の一部サイトから段階的に開始された状態で、日本を含むグローバル展開の時期は未定です。

結果として、「AI Mode経由で何人が実際にクリックしたか」を把握する手段は、依然として存在しないのが実情です。

参照:Search Engine Land「Google AI Mode traffic is untrackable」

Search ConsoleとGA4でAI流入が見えない理由

AI機能 GA4での表示 判別できるか
AI Overview Organic Searchに混在 ❌ できない
AI Mode Organic Searchに混在/表示回数のみ一部可視化 △ 一部のみ(英国限定・クリック不可)
ChatGPT(ブラウザ) Referral(chatgpt.com) ✅ 一部確認可能
ChatGPT(アプリ) Directに混在 ❌ できない
Perplexity(ブラウザ) Referral(perplexity.ai) ✅ 一部確認可能
Gemini・Copilot等(ブラウザ) Referral(各ドメイン) ✅ 一部確認可能

※ アプリ経由・AI Overview・AI Modeはいずれもクリック単位の正確な計測が困難な状態が続いている(2026年6月時点)

かつてGoogleのSSL化でキーワードが見えなくなった「Not Provided問題」がありました。

Not Provided問題とは……2011年以降、Googleが検索キーワードのSSL暗号化を進めたことで、サイト運営者が「どんな言葉で検索されたか」をアクセス解析ツールで確認できなくなった現象。Google Analyticsの参照元データが軒並み「(not provided)」と表示されるようになったことからこう呼ばれています。

そして今、AI検索の普及によって同じことが起きています。これがいわゆる「Not Provided 2.0」です。

表示回数の可視化が一部始まったとはいえ、GA4とSearch Consoleを見ているだけでは、クリック単位では「見えていない流入」が依然として存在しているということです。

参照:Search Engine Land・Lily Ray「Not Provided 2.0」(2025年)

実データで見る——業種別3サイトのDirect比率

「AI流入がDirectやOrganicに混入している可能性」は、実際のGA4データからも仮説として検討できます。

業種の異なる3サイトのGA4データを確認したところ、いずれも業種標準と比べてDirect比率が高い傾向が見られました。

業種別3サイトのDirect比率(実データ・匿名)

サイト種別 計測期間 Direct比率 業種標準との比較
建築系メーカーサイト(BtoB) 2026年2月〜3月 33.07% 一般的な目安15〜20%に対して約13〜18%高い
不動産リノベ企業サイト 2024年1月〜2026年3月 23.32% 標準より高め
インテリア系ECサイト 2026年2月〜3月 17.94% EC標準10〜15%に対して約3〜8%高い

※ いずれも許可を得た上で匿名で掲載。AI観測ラボによる独自調査(2026年3月)。比較対象の「一般的な目安」は業界平均レポート等に基づく参考値で、当ラボによる独自集計ではない。

3サイトに共通しているのは、業種が違うにもかかわらず全サイトでDirectが標準より高いという事実です。

もちろんDirect比率が高い理由はAI流入だけではありません。ブックマークからのリピーター、メールマガジンのリンク、UTMパラメータ未設定の広告流入なども原因になります。

ただし注目したいのは「なぜ業種を問わず高いのか」という点です。業種ごとにリピーター比率やメール施策の有無は異なります。それでも全サイトで標準を上回っているとすれば、業種横断で共通する要因——つまりAI検索の普及——が影響している可能性を否定できません。

⚠️ 観測ラボからの注記

今回のデータはサンプル数が限られており、AI流入が原因であると断定するものではありません。ただし「計測できない流入がDirectに混入している可能性がある」という仮説を検討する根拠として提示しています。

業種別3サイトのDirect比率実データ
業種が違う3サイト全てでDirect比率が標準を上回っている

現状できるAI流入の推定方法3つ

GA4やSearch ConsoleではAI流入を正確に計測できませんが、一部は確認・推定することが可能です。

ここでは、現時点で使える3つの方法を紹介します。

① GA4のReferralでAI検索サービスを確認する

ChatGPT・Perplexity・GeminiなどのAI検索サービスは、ブラウザ経由であればGA4のReferral(参照元)に記録されます。

トラフィック獲得レポートで「セッションの参照元/メディア」を確認し、以下のドメインがあればAI経由の流入が発生しています。

GA4で確認できる主なAI検索サービスのドメイン

AIサービス GA4に表示される参照元
ChatGPT chatgpt.com
Perplexity perplexity.ai
Gemini gemini.google.com
Copilot copilot.microsoft.com
Claude claude.ai

※ アプリ経由の流入はこの方法では確認できない

② GA4にカスタムチャネルグループを追加する

AI流入をまとめて見たい場合は、専用のチャネルを作るのが最もわかりやすい方法です。

バラバラに記録されるAI検索からの流入を1つにまとめて、「AI経由の流入量」をざっくり把握できるようになります。

設定は「管理 → データの表示 → チャネルグループ」から新規チャネルを作成し、セッションの参照元に以下の正規表現を設定します。

    
(chatgpt\.com|chat\.openai\.com|perplexity\.ai|gemini\.google\.com|copilot\.microsoft\.com|claude\.ai)
    
  

設定後はトラフィック獲得レポートに「AI検索」というチャネルが表示されるようになります。ただしこれはブラウザ経由の流入のみが対象で、アプリ経由やAI Overview・AI Mode経由の流入は含まれません。

③ ランディングページの「#:~:text=」パラメータを確認する

AI経由のクリックは、URLに痕跡が残ることがあります。

AI OverviewやPerplexityからのリンクには、「#:~:text=」というパラメータが付くことがあります。これはページ内の特定テキストをハイライトする機能で、AIが引用箇所を指定するときに使われます。

GA4の「エンゲージメント → ランディングページ」で「#:~:text=」を検索すると、このパラメータ付きのURLを確認できます。

もし見つかれば、AI経由でクリックされた可能性が高いアクセスです。

💡 3つの方法で見えるもの・見えないもの

①はどのAIサービスから来ているかの傾向把握、②はAI流入をまとめて可視化、③はAI Overviewからの流入を推定——3つを組み合わせることで、見えない部分を少しずつ補完できます。ただしいずれも推定であり、完全な計測ではありません。

じゃあ何を指標にすればいいのか

ここまで見てきた通り、GA4やSearch ConsoleだけではAI流入の全体像は把握できません。

つまり、これまでと同じ指標の見方では正しく判断できなくなっているということです。

結論として、「PV・セッション数だけで評価するのをやめる」必要があります。

AI検索が普及した今、流入数だけを追っていても実態は見えません。

代わりに注目すべき指標が3つあります。

① エンゲージメント率と平均エンゲージメント時間

AI検索時代は「量」ではなく「質」で判断する必要があります。

GA4のエンゲージメント率は、「どれだけ能動的に行動したか」を示す指標です。AI検索経由のユーザーは、ある程度情報収集を終えた状態でサイトに訪れるため、エンゲージメント率が高くなりやすい傾向があります。

流入数が減っていてもエンゲージメント率が上がっている場合は、質の高いユーザーが増えている可能性があります。

セッション数だけを見て評価するのではなく、「来ているユーザーの質」で判断することが重要です。

② Search ConsoleのCTRと表示回数の乖離

表示回数が増えているのにCTRが下がっている場合、AIにクリックを奪われている可能性があります。

Search Consoleでこの傾向が見られるキーワードは、AI Overviewに表示されている可能性が高い状態です。

確認するには、「検索パフォーマンス」で表示回数を降順に並び替え、CTRが1〜3%以下のキーワードをチェックします。

該当キーワードを実際に検索し、AI Overviewが表示されているか確認すれば、影響の有無を判断できます。

③ ブランド指名検索数の推移

AI検索時代は「直接流入」よりも「あとから検索される」動きが増えています。

AI検索でサイト名やブランド名を知ったユーザーが、後から指名検索でたどり着くケースが増えています。Search Consoleでブランド名のキーワードのクリック数推移を定期的に確認してください。

ブランド指名検索が増えているなら、AI経由での認知は確実に広がっています。

これは、AI検索時代における「見えない資産の蓄積」を示す重要な指標です。

AI検索時代に見るべき指標まとめ

指標 確認場所 何がわかるか
エンゲージメント率 GA4 流入の質が上がっているか
表示回数とCTRの乖離 Search Console AI Overviewの影響を推測
ブランド指名検索数 Search Console AI経由の認知拡大を推測
AI検索Referral数 GA4(カスタムチャネル) 確認できるAI流入の傾向
#:~:text=付きURL数 GA4ランディングページ AI Overview経由を推定

完璧な計測は現時点では存在しません。

ただし、複数の指標を組み合わせることで「見えていない流入」を推測することは可能です。

セッション数だけで一喜一憂するのではなく、これらの指標を継続的に確認することで、AI検索時代でも実態に近い判断ができるようになります。

「見えている数字」ではなく、「見えていない前提」で判断することが重要です。

まとめ

GA4に出ない流入がある——この記事で扱った内容を整理します。

この記事のまとめ

GA4のDirectには、ChatGPTアプリやGoogle AI Modeからの流入が混入している可能性がある

Google AI OverviewからのクリックはOrganic Searchに混在し、Search ConsoleでもAI Modeの別集計は未対応(2026年3月時点)

業種の異なる3サイトのGA4実データで、いずれも業種標準を上回るDirect比率が確認された

ChatGPT・Perplexityなど独立AIサービスはブラウザ経由であればReferralとして一部確認できる

完全な計測は現時点では不可能だが、複数の指標を組み合わせることで推測の精度を上げられる

「セッションが減った」「CTRが下がった」という数字だけを見て対策を間違えないために、GA4とSearch Consoleの限界を理解した上でデータを読む視点が今後ますます重要になります。

ゼロクリック問題の全体像については「検索1位なのにアクセスが少ない理由|ゼロクリック問題をわかりやすく解説」で解説しています。広告運用への影響については「ゼロクリックで広告費が溶けている—AI Overview時代のGoogle広告の現実」で扱っています。

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