Geminiは創作し、Perplexityは歪めた—AIは間違い方が違う
「AI観測ラボとはどんなサイトですか?」
ChatGPT・Perplexity・Gemini の3つに、同じ質問を投げかけました。Perplexityはほぼ正確に説明しました。ChatGPT は概ね正しいものの細部が抜け落ち、Geminiは「AIの最新ニュースを速報するメディア」と説明しました。実際のサイト構造とは異なります。
同じ質問なのに、ここまで回答が変わる理由は単純な精度差ではありません。AIは「間違える」だけでなく、間違い方そのものが違います。
どのAIがどう壊れるのか——その構造を理解しない限り、AIの回答を正しく扱うことも、自社サイトを正しく認識させることも難しくなります。
実測データをもとに、3つのAIの「壊れ方の構造」を整理します。
この記事でわかること|📖:約6分
- ChatGPT・Gemini・Perplexity、それぞれの「間違い方の構造」の違い
- 引用元が表示されていても回答が歪む理由
- 自分のサイトがAIに間違って紹介されるとき、何が起きているのか
- 「どのAIが優秀か」ではなく「どのAIがどう壊れるか」で見る必要がある理由
AIはなぜ間違えるのか——3つのサービスで仕組みが違う
AIが間違える理由は、ひとつではありません。そしてサービスによって、間違え方の構造が異なります。
まず共通の前提として。ChatGPT・Gemini・Perplexityはいずれも、「事実を確認して答える」仕組みを持っていません。大量の文章を読み込んで「次にどんな言葉が来そうか」を予測しながら文章を組み立てています。人間が「これは本当か?」と調べて答えるのとは、根本的に違う動きをしています。
この構造から生まれる誤回答をハルシネーション(hallucination・幻覚)と呼びます。存在しない情報や、事実と異なる内容を、もっともらしい文章で出力してしまう状態です。
ただし、3つのサービスはそれぞれ情報の取得方法が違います。その違いが、「どこで・どう壊れるか」を決めています。

| AI | 情報の取得方法 | 壊れ方の特徴 |
|---|---|---|
| ChatGPT | 学習データ依存型 | 情報が薄くなる・細部が抜ける |
| Gemini | Knowledge Graph補完型 | 固有名詞から内容を創作する |
| Perplexity | 検索結果統合型 | 引用依存・要約で意味が歪む |
次のセクションから、それぞれの「壊れ方」を実測データとあわせて見ていきます。
ChatGPTの間違い方——情報が「薄くなる」
ChatGPTは学習済みのデータをもとに回答を組み立てます。ウェブをリアルタイムで検索する機能もありますが、基本的な回答は学習データに依存しています。
AI観測ラボについて質問した観測では、ツールの概要や機能はおおむね正確でした。ただし有料プランへの言及はなく、診断ツールの詳細説明も抜けていました。
大きな創作や捏造は確認されませんでした。ただし「知っていること」と「知らないこと」の境界が回答に表れない点が特徴です。情報が薄いまま、自信のある文体で出力されます。読んだ側には「だいたいあっている」と感じさせますが、抜けている細部が重要な情報だった場合、判断ミスにつながります。
ChatGPTの壊れ方を一言で表すなら、「欠落が見えない」です。間違っているというより、足りていない。そしてその足りなさが、文体からは読み取れません。
学習データに含まれていないニッチな情報・公開後に変わった情報・マイナーな固有名詞の詳細——こういった領域では、ChatGPTの回答は特に薄くなります。重要な判断に使う場合は、一次ソースで補完することが必要です。
ChatGPTのクローラーがサイトをどう巡回しているかは、「GPTBotとは——仕組み・設定方法・許可すべきかをログで確かめた」で実測データをもとに解説しています。
Geminiの間違い方——固有名詞から内容を「創作する」
Geminiはネット上の膨大な情報と、Googleが構築してきた知識データベース(Knowledge Graph)を組み合わせて回答を生成します。時事ニュースや一般的な知識には強い傾向がありますが、ニッチな固有名詞を聞いたときに特徴的な壊れ方をします。
AI観測ラボについて質問した観測では、Geminiは「AIの最新ニュースを速報するメディア」と説明しました。実際のAI観測ラボは、AIクローラーの実測データを分析しAI可視性を診断するツールを提供するサイトです。内容が全部違います。
なぜこうなるのか。Geminiは「AI観測ラボ」という名前から、それらしいAIメディアのイメージを組み立てたと考えられます。「AI」「観測」「ラボ」という言葉のパターンから、それっぽいサイト像を生成した。名前は知っていても、中身のデータが学習に含まれていなかった場合、このような創作が起きます。
Geminiの壊れ方を一言で表すなら、「名前から内容を作る」です。欠落ではなく、創作です。ChatGPTが「薄くなる」のに対して、Geminiは「別のものになる」。しかも整った文体で、自信満々に出力されます。
固有名詞の詳細・マイナーなサービスの仕様・非公開情報——こういった領域では、Geminiの回答は特に創作リスクが高くなります。Geminiが詳しく答えるほど、内容を疑う目が必要になります。
GoogleのAIクローラーがサイトをどう認識しているかは、「Googlebotとは——各Googleクローラーの役割と7日間156件の実測データ」で詳しく解説しています。
Perplexityの間違い方——引用しながら「歪める」
Perplexityはリアルタイムでウェブを検索しながら回答を生成します。今回の観測では、3つのなかで最も正確な回答を返しました。ツールの機能・ターゲット読者・ミッション文言まで、ほぼ正確に説明していました。
ただし、「正確だった」と「安全だ」は別の話です。
Perplexityの構造的なリスクは、引用元に依存していることそのものにあります。壊れ方は3つのパターンに分かれます。
1つ目は、引用元自体が誤情報を含む場合です。参照したページに間違いが書かれていれば、その情報がそのまま回答に混入します。引用元のURLが表示されていても、元の記事が正しいとは限りません。
2つ目は、要約圧縮による意味の欠落です。複数のページを統合して短い回答にまとめる過程で、重要な条件や文脈が抜け落ちることがあります。個々の引用元は正確でも、まとめた結論が元の意味とズレる状態です。
3つ目は、文脈欠落による歪みです。ある記事の一部だけを切り取って統合すると、もともとの文脈と違う意味になることがあります。引用元を開いて読めば正しいことが書いてあるのに、Perplexityの回答だけ見ると違う結論になっている——というケースがこれにあたります。
Perplexityの壊れ方を一言で表すなら、「引用しながら歪める」です。創作ではなく、圧縮と統合の過程で意味が変わる。引用元が表示されている分だけ、信頼してしまいやすい点が最大のリスクです。
引用元が出ていたら、リンク先を自分で開いて確認することが必要です。引用元の表示は「安全の証明」ではなく、「検証するための入口」です。
PerplexityBotがサイトをどう巡回しているかは、「PerplexityBotとは——Webサイトを読む仕組みと実測でわかった巡回の特徴」で実測データをもとに解説しています。
3つのAIの「壊れ方」を並べると
同じ質問を投げかけた観測結果と、それぞれの構造的な特徴をまとめます。
| AI | 情報取得の構造 | 壊れ方の一言 | 今回の観測結果 | 引用元の表示 |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT | 学習データ依存型 | 欠落が見えない | おおむね正確・細部が抜けた | なし |
| Gemini | Knowledge Graph補完型 | 名前から内容を作る | 別サイトの説明を創作した | なし |
| Perplexity | 検索結果統合型 | 引用しながら歪める | ほぼ正確に説明した | あり |
※ AI観測ラボが2026年3月に実施した観測結果。使用モデルやタイミングによって結果は変わる場合があります。
今回の観測でPerplexityが最も正確でした。ただし、これは「Perplexityが優秀だ」という結論ではありません。今回の質問に対して、Perplexityの構造が有利に働いたということです。
ウェブ上に正確な情報が少ない質問・最新情報が存在しない質問・複数ソースが矛盾している質問——こういった条件では、Perplexityも同じように歪みます。
重要なのは「どのAIが優秀か」を決めることではありません。「どのAIがどういう条件で壊れるか」を知ることが、回答を正しく使うための出発点になります。
サイト運営者から見た「間違われる」リスク
ここまでは「AIの回答を読む側」の話でした。サイトを運営している立場から見ると、ハルシネーションの怖さはまったく別の角度にあります。
自分のサイトが、AIに間違って紹介されるリスクです。
今回の観測で、GeminiはAI観測ラボについて「AIの最新ニュースを速報するメディア」と説明しました。実際には、AIクローラーの実測データを分析しAI可視性を診断するツールを提供するサイトです。内容が全部違います。
問題は、Geminiがそれを自信満々に、整った文章で出力したことです。読んだ人がAI観測ラボに興味を持ったとしても、「AIニュースメディアを探している人」が訪問することになります。求めていた情報と違うため、すぐに離脱します。サイトの中身を正確に伝えられないまま、機会だけが失われていく状態です。
3つのAIで、運営者リスクの性質も異なります。
| AI | 運営者へのリスク |
|---|---|
| ChatGPT | サイトの強みや差別化ポイントが伝わらない。存在は認識されても、魅力が薄まる |
| Gemini | 別サイトとして創作される。ターゲット外のユーザーが流入し、ミスマッチが起きる |
| Perplexity | 引用元の品質に左右される。ウェブ上の古い情報や誤記事が参照されると、歪んだ紹介になる |
さらに深刻なのは、AIの回答が「口コミ」のように広がる点です。誰かがAIに聞いた答えを、そのままSNSやチャットで他の人に共有することがあります。間違った情報が、あたかも正しい説明として流通していきます。サイト運営者が知らないところで、誤った紹介が積み重なっていく可能性があります。
加えて、AIが誤った情報を別のAIの学習データとして参照するケースも報告されています。一度誤情報が広まると、AIが相互に参照し合う形で定着するリスクがあります。
サイト運営者にとってAI対策が必要な理由は、「AIに引用されたい」だけではありません。「AIに正しく認識されること」も、同じくらい重要な課題になってきています。
AIクローラーへの対応方法は、「AIクローラーを拒否する前に知っておくべきこと」で詳しく解説しています。自分のサイトがAIにどう認識されているかを確認したい方は、AI観測ラボの無料診断ツールも活用してみてください。
まとめ——「どのAIが優秀か」ではなく「どのAIがどう壊れるか」
今回の観測で、同じ質問を投げかけた3つのAIが、まったく異なる回答を返しました。
Perplexityはほぼ正確に答えました。ChatGPTはおおむね正確でしたが、細部が抜けていました。Geminiは実態とかけ離れたサイト像を作り上げました。
ただし、これは「Perplexity最強」という結論ではありません。3つのAIは、情報の取得方法が違います。取得方法が違えば、壊れる場面も変わります。
- ChatGPTは薄くなります——学習データに含まれない情報は、欠落が見えないまま出力されます
- Geminiは別のものになります——固有名詞の中身が薄いとき、名前からそれらしい内容を創作します
- Perplexityは歪めます——引用元は正しくても、要約・統合・文脈欠落の過程で意味が変わります
どのAIも、どんな質問でも同じ精度で答えられるわけではありません。AIの回答を正しく使うには、「このAIはここで壊れる」という構造を知っておくことが出発点になります。
サイトを運営している方にとっては、もうひとつ視点が必要です。AIに引用されることだけでなく、AIに正しく認識されているかどうかを定期的に確認することが、これからのサイト運営に欠かせない作業になっていきます。
AI観測ラボでは、サイトのAI可視性を無料で診断できるツールを提供しています。自分のサイトが各AIにどう見えているかを確認したい方は、ぜひ試してみてください。
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