実装・技術解説 2026.06.23 11 min read

GA4はAIエージェントを人間として数えている?ChatGPT Agentで見えた測定の死角

GA4上では人間のアクセスとAIエージェントのアクセスが同じように見えることを示すサムネイル画像
OBS-LOG / 2026.06.23
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GA4を開くと、AI Assistantからのセッションはごく一部に見えます。

「AIからの流入はまだ少ない」——そう判断しているサイト運営者は多いはずです。でも、AI観測ラボのログを見ていて、少し引っかかることがありました。

ChatGPT AgentのようなAIエージェントは、ただページを取得するだけではありません。ブラウザとしてページを開き、JavaScriptを実行し、GA4にイベントを送ってくる場合があります。そのときGA4上では、AIではなく普通のMac Chromeの訪問のように見えることがあります。

GA4が「少ない」と見せているのは、AIとして見えているアクセスだけかもしれません。人間として計測されているアクセスの中に、AIエージェントが混ざっている可能性があります。

この記事でわかること|📖:約5分

  • GA4のbot除外が対応しているのは、主に「既知のbot」であること
  • Chromeのように振る舞うAIエージェントは、UA判定だけでは人間と見分けにくいこと
  • ChatGPT AgentがJavaScriptを実行し、GA4にイベントを送ってくる場合があること
  • GA4の「AI Assistant」が少なくても、AIの影響が少ないとは言い切れない理由

GA4の「AI Assistant」が少なくても、AIの影響が少ないとは限らない

GA4のトラフィック獲得レポートを開くと、チャネルのひとつに「AI Assistant」という項目があります。ChatGPTやPerplexityなどのAI検索からクリックして訪問してきたセッションが、ここに分類されます。

GA4のAI Assistantチャネルに見えているAIと、Directや人間セッションに混入している可能性のあるAIエージェントの比較図
GA4の「AI Assistant」に見えているのは氷山の一角かもしれない

AI観測ラボのGA4でも、AI Assistantは全セッションのごく一部に見えていました。一方Directは、より大きな割合を占めていました

気になったのは、「AIとして見えているアクセス」ではなく、「人間として見えているかもしれないAIエージェント」です。

AI Assistantチャネルに入るのは、GA4がAI経由の訪問として分類できたアクセスです。リファラーが残らないアクセスや、通常のブラウザのように直接ページを開くAIエージェントは、AI Assistantには入りません。

要するに、GA4上でAI Assistantが少なく見えていても、AIの影響が小さいとは限りません。Directや他のチャネル、あるいは普通の人間のセッションに見えるアクセスの中に、AIエージェントが混ざっている可能性があります。

GA4が除外しているのは、主に「既知のbot」である

GA4には、botトラフィックを自動で除外する仕組みがあります。対象になるのは、Googleの調査やIAB Tech Labが管理するリストなどで識別された、いわゆる既知のbotが中心です。

GA4のbot除外の仕組み。既知のbotはIABリストで除外されるが、ChromeのふりをしたAIエージェントは素通りすることを示す図
GA4の自動除外が対応しているのは「既知のbot」だけ。除外されたbotの件数は確認できない

IABのリストは、検索クローラーや監視ツールなど、あらかじめ分類された自動トラフィックを識別するためのものです。GPTBotやClaudeBotのようにUser-Agentでbotだとわかるクローラーは、少なくとも識別の手がかりがあります。

問題は、手がかりを出さないアクセスです。通常のChromeブラウザと同じようなUser-Agentを使い、JavaScriptを実行してGA4タグを発火させるアクセスは、GA4上では人間の訪問と区別しにくくなります

さらに重要なのは、GA4がどれだけbotを除外したか、その件数や割合を管理画面から確認できないことです。「既知のbotは自動で除外される」とされていても、「どのアクセスが、どれだけ除外されたのか」までは見えません。

UA判定だけでは、ChromeのふりをしたAIエージェントを見抜けない

では、User-Agentを見ればAIエージェントを判別できるのでしょうか

AI観測ラボでは、GTMでUser-Agentをもとにbotかhumanかを判定するタグを設置していました。GPTBotやClaudeBotのように、User-Agentにbot名が含まれているアクセスであれば、ある程度の判定はできます。

しかしながら、実際に記録された判定を見ると、ほとんどのアクセスはhumanとして扱われていました。

GA4のbot除外の仕組み。既知のbotは識別しやすい一方で、ChromeのふりをしたAIエージェントはGA4レポートに残る可能性があることを示す図
GA4の自動除外は主に「既知のbot」が対象。通常のChromeのように振る舞うAIエージェントは、人間の訪問に近い形で残る可能性があります。

理由は単純です。通常のChromeブラウザのようなUser-Agentでアクセスしてくる場合、User-Agentだけでは人間のブラウザなのか、AIエージェントが操作しているブラウザなのかを区別できないからです。

たとえると、User-AgentがMacのChromeに見えるアクセスがあったとしても、それだけでは人間がMacでページを開いたのか、AIエージェントが仮想ブラウザでページを開いたのかはわかりません。

User-Agent判定は今でも有効な手がかりではありますが、AIエージェント時代にはそれだけで十分とは言えません。AIがブラウザとして動くようになると、アクセス解析上は人間の訪問に近づいていきます

ChatGPT Agentは、クローラーではなくブラウザとして動く

従来のAIクローラーは、サーバーに対してページのHTMLを取得しに来る存在でした。GPTBotやClaudeBotのように、User-Agentにbot名が含まれていれば、サーバーログ上でも比較的わかりやすいアクセスです。

対して、ChatGPT AgentのようなAIエージェントは少し違います。ユーザーの指示に応じてWebページを開き、画面を確認し、クリックやページ遷移を行うことがあります。なので、単にHTMLを取得するだけではなく、ブラウザに近い形でサイトを操作します。

従来のAIクローラーとChatGPT Agentの動き方の比較図。クローラーはHTMLを取得するだけだが、ChatGPT AgentはブラウザとしてJavaScriptを実行しGA4にイベントを送る
従来のAIクローラーはHTMLを取得するだけ。ChatGPT AgentはブラウザとしてJavaScriptを実行するため、GA4には通常の訪問に近い形でイベントが届く

ここで問題になるのがGA4です。GA4は、ページ上のJavaScriptタグが実行されることでイベントを送信します。AIエージェントがブラウザとしてページを開き、JavaScriptを実行すれば、GA4には通常の訪問と同じようにイベントが届く可能性があります。

AI観測ラボで確認した範囲でも、ChatGPT Agent由来と見られるアクセスがJavaScriptを実行し、GA4にイベントを送っているように見えるケースがありました。GA4上のUser-AgentはMac Chromeに近く、通常のレポートだけでは人間の訪問と区別できません。

上記の事象は、AIクローラーが増えたという話だけではありません。AIが「ブラウザを使う訪問者」としてWebサイトに現れるようになった、という変化です。

「AI流入が少ない」のではなく、「AIとして見えていない」可能性

ここまで見てきたように、GA4でAI Assistantとして表示されるのは、GA4がAI経由の訪問として分類できたアクセスです。

問題は、通常のChromeのように振る舞うAIエージェントは、Directや他のチャネルに入り、人間のセッションに近い形で記録される可能性があります。GTMでUser-Agent判定をしても、Chrome風のアクセスはhumanとして扱われやすく、通常のレポートだけでは見分けがつきません。

要すると、GA4上でAI Assistantが少ないからといって、AIの影響が少ないとは限りません。実際には、AIとして見えていないアクセスが、人間のアクセスの中に混ざっている可能性があります。

補足としてGA4が使えないという話ではありません。GA4は人間の行動を見るうえで今でも重要なツールです。ですが、AIエージェントがブラウザとしてWebを操作する時代には、GA4の数字をそのまま「人間だけの行動」と読むのは危うくなっています。

サイト運営者は何を見ればいいのか

GA4だけで、人間とAIエージェントを完全に分けるのは難しくなっています。だからといって、GA4を見る意味がなくなるわけではありません。

大事なのは、GA4のチャネル分類だけで判断しないことです。AI Assistantが少ない、Directが多い、Organic Searchが伸びている。こうした数字を見るだけでは、その中にAIエージェントが混ざっているかどうかまではわかりません。

確認するなら、GA4だけではなく、サーバーログやGTMの判定結果もあわせて見る必要があります。User-Agent、IPアドレス、アクセスされたURL、リクエストの順序、JavaScriptが実行された形跡を並べて見ることで、ようやく「人間の訪問に見えるけれど、AIエージェントかもしれないアクセス」に気づけます。

特に見るべきなのは、通常のChromeのようなUser-Agentで、短時間に複数ページを移動しているアクセスです。そして、GA4にはイベントが残っているのに、参照元やチャネルだけでは説明しにくい場合は、サーバーログ側の動きも確認した方がいいでしょう。

AIクローラーの時代は、User-Agentを見ればある程度判断できました。しかし、AIエージェントがブラウザとして動くようになると、見るべきものは増えます。GA4、GTM、サーバーログを分けて考えるのではなく、同じアクセスの別々の断面として照合する必要があります

まとめ:GA4は不要ではない。だが「人間の数字」として読むには注意がいる

GA4のAI Assistantチャネルが少なく見えていても、それだけでAIの影響が小さいとは言い切れません。

GA4がAIとして分類できるアクセスは、あくまでAI経由として見えている一部です。通常のChromeのように振る舞い、JavaScriptを実行するAIエージェントは、GA4上では人間のセッションに近い形で記録される可能性があります。

これからのアクセス解析では、GA4、GTM、サーバーログをあわせて見ることが、AI時代の基本になっていくはずです。

AI観測ラボでは、WordPressサイトに訪問したAIクローラーを記録するプラグイン「AI Kansoku Lab Tracker」を公開しています。現在は主にGPTBot、ClaudeBot、PerplexityBotなど、User-Agentで識別できるAIクローラーの観測を中心にしています。

AI Kansoku Lab TrackerのWordPressプラグイン紹介画像

AIクローラーを視覚化する

AI Kansoku Lab Tracker

GPTBot、ClaudeBot、PerplexityBotなど、WordPressサイトに訪問したAIクローラーを記録できる無料プラグインです。

今回の観測結果をもとにAI観測ラボでも、人間とAIエージェントの違いを見つける仕組みを少しずつ作っていく予定です。

AIを可視化するつもりで始めたツールですが、人間を正確に把握する仕組みも必要だと気づきました。続報をお待ちください。

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