AI検索トレンド 2026.07.10 10 min read

AIが欲しいのは一次情報ではなく「代替できない情報」なのかもしれない

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OBS-LOG / 2026.07.10
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AI検索やGEOについてネットサーフィンしてると、「AIに引用されるには一次情報が重要」という話をよく見かけます。自分で調べたデータを出す。実際に使った感想を書く。アンケートを取る。たしかに、どれも独自性を作る方法です。

ですが、もっぱら気になることがあります。

一次情報なら、本当に何でも同じくらい価値があるのでしょうか。

もしかすると、AIが欲しいのは一次情報そのものではなく、情報源を使わなければ答えられない、他では代替できない情報なのかもしれません。

本記事では、「一次情報か二次情報か」という分け方から少し離れて、AI時代の情報価値を考えてみます。

冨島 基宏

Motohiro Tomishima
AI観測ラボ 著者

Webデザイン・ECサイト運営を経て、AIと検索の変化に興味を持ち観測を開始。「作りながら確かめる」スタイルで、生成AIがウェブをどう読むかを記録し続けている。理論より、手を動かした結果を重視。

Webデザイン
ECサイト運営
AI検索
生成AI観測
サイト設計

この記事でわかること|📖:約4分

  • なぜ「一次情報が大事」という説明だけでは、AI時代の情報価値を十分に表せないのか
  • 一次情報であることと、他のページで代替できないことは何が違うのか
  • AIにとって「候補になる」「引用される」「回答に深く使われる」を分けて考える理由
  • 数字がなくても、独自の比較や問いから代替できない情報を作れる可能性

一次情報と二次情報だけでは、少し粒度が粗い

一般的には、自分で体験したことや、自分で調べた結果を一次情報と呼びます。対して、他の人が発表した情報をもとにまとめたものは、二次情報と呼ばれます。

この分け方はわかりやすいのですが、AI時代の情報価値を考えるには、少し粒度が粗いようにも感じます。

たとえば、「このラーメンを食べておいしかった」という感想も一次情報です。そして、「福岡のラーメン店30軒を回って、替え玉の値段をすべて記録した」という調査も一次情報です。

どちらも、自分で確かめた情報です。それでも、他の人がその情報を使いたいと思ったときの価値は、同じとは限りません。

「おいしかった」という感想は、別の人でも書けます。似た感想が100件見つかることもあります。

そして、福岡のラーメン店30軒を同じ条件で調べ、替え玉の値段を一覧にしたデータがそのページにしかなければ、その情報は簡単には置き換えられません。

同じ一次情報でも代替しやすさが異なることを示した図。ラーメンを食べた感想は代替しやすく、福岡のラーメン店30軒を調べて替え玉価格を記録したデータは代替しにくい例として比較している。
どちらも一次情報だが、他の情報で代替できるかどうかには大きな違いがある

ここで重要なのは、一次情報かどうかだけではなく、その情報が他で代替できるかどうかです。

これは二次情報でも同じです。

たとえると、100本の記事や論文を読み、「AIクローラーのJavaScript実行を実測していたものは3本だけだった」と分類したとします。元になっているのは既存の情報ですが、100本を同じ基準で調べた結果は、新しいデータになります。

なので、一次情報だから価値が高く、二次情報だから価値が低いとは限りません。

誰が作った情報なのかだけではなく、発した情報がどれくらい珍しく、どれくらい置き換えにくいのか。

AI時代の情報価値は、上記の軸でも考えたほうがよさそうです。

AIに見つかること、引用されること、回答に使われることは同じではない

ここでもうひとつ、分けて考えたいことがあります。

AIに見つけてもらうことと、引用元として選ばれることこと。そして、その情報が回答の中心として使われることは、同じではありません。

たとえば、ある質問に答えるためにAIが10ページを見つけたとします。

その10ページは、まず「回答に使うかもしれない候補」です。

でも、候補になった10ページすべてが引用されるとは限りません。その中から、実際に引用元として選ばれるページもあれば、使われないページもあります。

さらに、引用されたからといって、その情報が回答の中心になるとも限りません

名前だけ紹介されることもあれば、ひとつの数字だけ使われることもあります。そして、そのページにある独自のデータや比較が、回答そのものを作る材料になることもあります。

AI観測ラボでは、少なくとも下記の3点は分けて考えるようにしてます。

  • 候補になる:AIが回答を作るために、そのページを見つける
  • 引用される:回答の出典として、そのページが選ばれる
  • 回答に深く使われる:そのページの情報が、回答の中身そのものを作る
AIがWebページを見つけて候補にする段階、引用元として選ぶ段階、その情報を回答の中身に深く使う段階の3つを比較した図。
AIに見つかること、引用されること、回答の中身に深く使われることは、それぞれ別の段階として考えられる

これらの違いを考えると、「Redditに投稿すればGEO対策になる」「独自データを入れればAIに引用される」といった説明も、少し荒いというか大きなくくりに見えてきます。

Redditに投稿したことで候補になる可能性はあります。ですが、実際に引用されるかは別です。さらには、引用されたとしても、その投稿の内容が回答の中心まで使われるとは限りません。

では、どんな情報なら、候補で終わらず、回答の中身まで使われやすくなるのでしょうか。

次に再び出てくるのが、他では代替しにくい情報という考え方です。

オリジナルデータは、数字だけではない

オリジナルデータと聞くと、アクセス数やアンケート結果、売上データのような「数字」を思い浮かべる人が多いかもしれません。

もちろん、数字はインパクトがあり強めな情報です。何回起きたのか、どれくらい違ったのかを、はっきり言葉で示せるからです。

しかしながら、独自性は数字だけから生まれるわけではありません。

例えば、同じ条件で2つの商品を比べる。以前との違いを記録する。試してみたけれど何も起きなかったことを残す。誰も比べていなかった視点から観察する。

これらも、実験者が実際に確かめなければ存在しなかった情報です。

AI観測ラボでも、AIクローラーの実測ログを単純なアクセス件数だけで見ているわけではありません。

オリジナルデータは数字だけではなく、数える、比べる、変化を見る、何も起きなかったことを残す、新しい問いを立てるという5つの方法から生まれることを示した図。
オリジナルデータは数字だけではない。比較、変化、失敗や未発生の記録、新しい問いからも独自の情報は生まれる

「どのページから入り、そのあとどこへ移動したのか」「以前のバージョンと比べて行動が変わったのか」「置いたファイルを本当に取りに来たのか」といった違いを見ています。

オリジナルデータは、大量の数字からしか生まれないわけではありません。数える、比べる、変化を見る、何も起きなかったことを残す。小さな観測からも、他では代替しにくい情報は生まれます。

同じものを見ても、問いが違えば新しい情報になる

新しいデータを持っていなければ、独自性は作れないのでしょうか。

ガジェット系の記事でiPhoneとNothing Phoneを比べる場合、カメラ性能、バッテリー、重さ、処理速度などがよく比較されます。

同じ2台のスマートフォンでも、カメラやバッテリーを比べる一般的な比較と、1日にスマートフォンを触る回数が減るかという独自の問いでは、生まれる情報が変わることを示した図。
同じ対象でも、問いの立て方が変われば、これまでなかった情報が生まれることがある

では、「iPhoneからNothing Phoneに変えたら、1日にスマートフォンを触る回数は減るのか」という問いならどうでしょう。

比べている端末は同じでも、見る角度が変われば、まだ誰も持っていなかった情報が生まれることがあります。

オリジナルデータは、珍しいデータを持っている人だけが作るものではありません。問いの立て方から生まれることもあります。

代替できない情報を見つけたあと、AIは周辺情報も取りに来る

最後にもうひとつ、AI観測ラボで気になっている動きがあります。

AIクローラーは、ひとつの記事を取得したあと、1ページ取得だけで終わらず、関連する別の記事を続けて取りに来ることがあります。

人間同様、ひとつの情報を知ったあとには、次に必要になる情報や関連するが気になります。

「iPhoneからNothing Phoneに変えたら、1日にスマートフォンを触る回数が減った」という記録があったとします。

すると、次に、なぜ減ったのか。通知が少なくなったのか。画面を見る時間も減ったのか。30日後も同じ状態が続いたのか。iPhoneに戻したらまた増えたのか、といった新しい問いが生まれます。

iPhoneからNothing Phoneに変えてスマートフォンを触る回数が減ったという発見から、なぜ減ったのか、通知や画面を見る時間は変わったのか、30日後も続いたのかといった次の問いが広がる様子を示した図。
ひとつの代替しにくい情報が見つかると、答えを起点に次の問いや周辺情報が広がっていく

答えが見つかると、その周りに理由、比較、条件、変化、継続性といった次の情報が必要になります。

ひとつの珍しいデータが、別の質問にも答えられる情報のまとまりに変わっていきます。

AI観測ラボでも、「AIクローラーが何回来たか」だけではなく、「どこから入ったのか」「そのあとどこへ移動したのか」「前回と何が変わったのか」まで見るようにしています。

まとめ:AIが欲しいのは「代替できない情報」なのかもしれない

「AIに引用されるには一次情報が重要」とよく言われます。

ですが、ここまで見てきたように、一次情報なら何でも同じ価値を持つわけではありません。

「このラーメンはおいしかった」という感想も一次情報です。一方で、福岡のラーメン店30軒を回り、替え玉の値段をすべて記録したデータも一次情報です。

同じ一次情報でも、他のページで簡単に置き換えられるものもあれば、その人が調べなければ存在しなかった情報もあります。

そして、オリジナルデータは大量の数字からしか生まれるわけではありません。

数える。比べる。変化を見る。何も起きなかったことを残す。そして、誰も立てていなかった問いを投げる。

同じiPhoneとNothing Phoneを見ても、「カメラ性能はどちらが上か」と聞くのか、「端末を変えたらスマホを触る回数は減るのか」と聞くのかで、生まれる情報は変わります。

また、AIに見つかること、引用元として選ばれること、その情報が回答の中身に深く使われることも、それぞれ同じではありません。

だから、「Redditに投稿すればいい」「一次情報を入れればいい」「独自データがあれば引用される」とひとことでまとめるには、少し粒度が粗いように感じます。

大事なのは、その情報源がなくなったとき、AIが同じ答えを作れるかどうか。

AIが本当に欲しいのは、一次情報そのものではなく、「代替できない情報」なのかもしれません。

AIは?という視点で書いてきましたが、結局は人間も同じ導線で動くことからAIも人間も気になる・疑問に思うポイントを押さえていきつつ情報を整理してあげることが我々人間の仕事なのかもしれないですね。

AI観測ラボでは、WordPressサイトに訪れたAIクローラーを記録する無料プラグイン「AI Kansoku Lab Tracker」を公開しています。自分のサイトでは何が起きているのか。答えを決める前に、まず観測してみるのもひとつの方法です。

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