AI最適化 2026.03.19 20 min read

GA4に出ない流入がある—ゼロクリック時代の計測の死角

GA4に出ない流入がある——ゼロクリック時代の計測の死角サムネ
OBS-LOG / 2026.03.19
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GA4のトラフィック獲得レポートを開いたとき、「Direct」という項目が気になったことはありませんか。

Directとは本来、URLを直接入力したユーザーやブックマークからの流入を指します。しかし今、このDirectの中に「AIに紹介されてサイトにたどり着いたユーザー」が大量に混入している可能性があります。

ChatGPTやPerplexityで検索したユーザーがサイトのリンクをクリックしても、GA4には正しく記録されないケースがあります。Google AI OverviewやAI Modeからの流入も、通常の検索流入と区別できません。

つまりGA4の数字は、AI検索が普及した今、「見えていない流入」を前提に読む必要がある時代になっています。

この記事でわかること|📖:約7分

  • GA4のDirectに「AI経由流入」が混入する仕組みと理由
  • Google AI ModeがSearch Consoleで計測できない現状
  • 業種別3サイトの実データで見るDirect比率の異常値
  • 現状できるAI流入の推定方法と代替指標の考え方

GA4のDirectに「AI流入」が混入する仕組み

GA4がトラフィックの流入元を判定するとき、ブラウザが送信する「リファラー(referrer)」という情報を使っています。リファラーとは「どのページからリンクをクリックしてきたか」を記録した情報です。

たとえばGoogleの検索結果からリンクをクリックすると、ブラウザは「google.comから来た」というリファラーをGA4に送信します。GA4はその情報をもとに「Organic Search」と分類します。

ところがリンクに「noreferrer」という属性が付いている場合、ブラウザはリファラーを送信しません。GA4は「どこから来たかわからない」と判断して、Directに分類します。

リファラーがある場合とない場合の違い
リファラーの有無でGA4の分類が変わる

リファラーがある場合とない場合の違い

流入元 リファラー GA4の分類
Google検索結果 google.com Organic Search
ChatGPT(ブラウザ) chatgpt.com Referral(計測できる)
ChatGPT(アプリ) なし(WebView) Direct(混入)
Google AI Mode noreferrer付き Direct(混入)
Google AI Overview google.com(区別不可) Organic Search(混入)
Perplexity(ブラウザ) perplexity.ai Referral(計測できる)

※ Google AI Modeのnoreferrerバグは2025年5月に修正済み。ただしGSCでの別集計は未対応。

特に問題なのは2つのパターンです。

1つ目はChatGPTのスマートフォンアプリからの流入です。アプリ内のWebView(アプリ内ブラウザ)はリファラーを送信しない仕様のため、ChatGPTで紹介されたサイトにアプリからアクセスしてもGA4にはDirectと記録されます。ChatGPTの利用はスマートフォンが中心であることを考えると、この影響は小さくありません。

2つ目はGoogle AI Overviewからの流入です。AI Overviewは通常のGoogle検索結果と同じドメイン上に表示されるため、GA4では通常のOrganic Searchと区別できません。AI Overviewに引用されてクリックされた流入も、普通の検索クリックと同じ「google / organic」として記録されます。

つまりGA4のレポートには、AIに起点を持つ流入が少なくとも2つのチャネルに分散して混入していることになります。

参照:Ahrefs「Google Made It So You Can’t Track Clicks From AI Mode」(2025年5月)

Search Consoleも「AI流入」を正確に見せてくれない

GA4で計測できないなら、Search Consoleで確認すればいいのでは——そう思うかもしれません。しかし残念ながら、Search ConsoleもAI流入の全体像を把握するには不十分な状態です。

現時点でSearch Consoleが抱える問題は2つあります。

① AI OverviewのクリックはOrganicに混在する

Search Consoleの検索パフォーマンスレポートでは、AI Overviewからのクリックと通常の検索結果からのクリックが同じ「ウェブ」検索タイプにまとめて表示されます。

つまり「表示回数が増えているのにCTRが下がっている」という現象が起きても、それがAI Overviewの影響なのか、検索順位が下がったせいなのか、Search Consoleだけでは判断できません。

② AI ModeはSearch Consoleで別集計されていない

Googleが2025年に導入したAI Modeは、Search Consoleでの別集計がまだ対応していません。

Googleは「近日対応予定」としていますが、2026年3月時点ではAI Modeからのクリックデータは通常の検索トラフィックに混在したまま、または計測できない状態が続いています。

参照:Search Engine Land「Google AI Mode traffic is untrackable」

Search ConsoleとGA4でAI流入が見えない理由

AI機能 GA4での表示 判別できるか
AI Overview Organic Searchに混在 ❌ できない
AI Mode Directに混在(別集計未対応) ❌ できない
ChatGPT(ブラウザ) Referral(chatgpt.com) ✅ 一部確認可能
ChatGPT(アプリ) Directに混在 ❌ できない
Perplexity(ブラウザ) Referral(perplexity.ai) ✅ 一部確認可能
Gemini・Copilot等(ブラウザ) Referral(各ドメイン) ✅ 一部確認可能

※ アプリ経由・AI Overview・AI Modeはいずれも正確な計測が困難な状態が続いている(2026年3月時点)

SEOの世界では以前、GoogleがSSL化を進めたことでキーワードデータが見えなくなった「Not Provided問題」がありました。AI検索時代に起きているこの計測の空白は、業界では「Not Provided 2.0」と呼ばれ始めています。

検索流入の計測手段として長年使われてきたGA4とSearch Consoleの組み合わせが、AI検索の普及によって「見えない部分」を抱えるようになった——これがゼロクリック時代の計測の死角の本質です。

参照:Search Engine Land・Lily Ray「Not Provided 2.0」(2025年)

実データで見る——業種別3サイトのDirect比率

「AI流入がDirectに混入している」という話は、実際のデータでも確認できます。

業種の異なる3サイトのGA4データを確認したところ、いずれも業種標準と比べてDirect比率が高い傾向が見られました。

業種別3サイトのDirect比率(実データ・匿名)

サイト種別 計測期間 Direct比率 業種標準との比較
建築系メーカーサイト(BtoB) 2026年2月〜3月 33.07% 標準15〜20%に対して約13〜18%高い
不動産リノベ企業サイト 2024年1月〜2026年3月 23.32% 標準より高め
インテリア系ECサイト 2026年2月〜3月 17.94% EC標準10〜15%に対して約3〜8%高い

※ いずれも許可を得た上で匿名で掲載。AI観測ラボによる独自調査(2026年3月)

3サイトに共通しているのは、業種が違うにもかかわらず全サイトでDirectが標準より高いという事実です。

もちろんDirect比率が高い理由はAI流入だけではありません。ブックマークからのリピーター、メールマガジンのリンク、UTMパラメータ未設定の広告流入なども原因になります。

ただし注目したいのは「なぜ業種を問わず高いのか」という点です。業種ごとにリピーター比率やメール施策の有無は異なります。それでも全サイトで標準を上回っているとすれば、業種横断で共通する要因——つまりAI検索の普及——が影響している可能性を否定できません。

⚠️ 観測ラボからの注記

今回のデータはサンプル数が限られており、AI流入が原因であると断定するものではありません。ただし「計測できない流入がDirectに混入している可能性がある」という仮説を検討する根拠として提示しています。

業種別3サイトのDirect比率実データ
業種が違う3サイト全てでDirect比率が標準を上回っている

現状できるAI流入の推定方法3つ

GA4もSearch ConsoleもAI流入を完全には計測できません。ただし「まったくわからない」わけでもありません。現状使える推定方法が3つあります。

① GA4のReferralでAI検索サービスを確認する

ChatGPT・Perplexity・GeminiなどのAI検索サービスはブラウザ経由であれば、GA4のReferralに参照元ドメインとして記録されます。完全な計測ではありませんが、「どのAIサービスから流入があるか」の傾向を把握できます。

確認手順はこうです。GA4の「レポート → 集客 → トラフィック獲得」を開き、ディメンションを「セッションの参照元/メディア」に切り替えます。以下のドメインが表示されていればAI検索からの流入が発生しています。

GA4で確認できる主なAI検索サービスのドメイン

AIサービス GA4に表示される参照元
ChatGPT chatgpt.com
Perplexity perplexity.ai
Gemini gemini.google.com
Copilot copilot.microsoft.com
Claude claude.ai

※ アプリ経由の流入はこの方法では確認できない

② GA4にカスタムチャネルグループを追加する

GA4の管理画面でAI検索専用のチャネルグループを作成すると、ReferralとしてバラバラになっているAI流入をまとめて確認できます。

設定場所は「管理 → データの表示 → チャネルグループ」です。新しいチャネルを作成して、以下の正規表現をセッションの参照元に設定します。

(chatgpt\.com|chat\.openai\.com|perplexity\.ai|gemini\.google\.com|copilot\.microsoft\.com|claude\.ai)

設定後はトラフィック獲得レポートに「AI検索」というチャネルが表示されるようになります。ただしこれはブラウザ経由の流入のみが対象で、アプリ経由やAI Overview・AI Mode経由の流入は含まれません。

③ ランディングページの「#:~:text=」パラメータを確認する

AI OverviewやPerplexityからクリックされたURLには、「#:~:text=」というパラメータが付くことがあります。これはページ内の特定テキストをハイライトするブラウザ機能で、AIが引用箇所を指定するときに使われます。

GA4の「エンゲージメント → ランディングページ」レポートで検索欄に「#:~:text=」と入力して確認してみてください。このパラメータ付きのURLが記録されていれば、AI経由でクリックされた可能性が高いです。

💡 3つの方法で見えるもの・見えないもの

①はどのAIサービスから来ているかの傾向把握、②はAI流入をまとめて可視化、③はAI Overviewからの流入を推定——3つを組み合わせることで、見えない部分を少しずつ補完できます。ただしいずれも推定であり、完全な計測ではありません。

じゃあ何を指標にすればいいのか

GA4もSearch ConsoleもAI流入を完全には把握できない——では何を見ればいいのでしょうか。

答えは「PV・セッション数だけを指標にするのをやめる」ことです。AI検索が普及した今、流入数だけを追いかけても実態が見えにくくなっています。

代わりに注目したい指標が3つあります。

① エンゲージメント率と平均エンゲージメント時間

GA4のエンゲージメント率は「サイトに来たユーザーがどれだけ能動的に行動したか」を示します。AI検索経由のユーザーは情報収集をある程度終えてからサイトに来る傾向があるため、エンゲージメント率が高くなりやすいです。

流入数が減っていてもエンゲージメント率が上がっているなら、質の高いユーザーが来ている可能性があります。セッション数の減少だけを見て「失敗」と判断するのは早計です。

② Search ConsoleのCTRと表示回数の乖離

Search Consoleで「表示回数は増えているのにCTRが下がっている」キーワードがあれば、AI Overviewに表示されてクリックを奪われている可能性があります。

確認方法はSearch Consoleの「検索パフォーマンス」で表示回数を降順に並び替え、CTRが1〜3%以下のキーワードを探すことです。そのキーワードをGoogleで実際に検索してAI Overviewが表示されるか確認すると、影響の有無を推測できます。

③ ブランド指名検索数の推移

AI検索でサイト名・会社名・ブランド名を知ったユーザーが、後から指名検索でたどり着くケースが増えています。Search Consoleでブランド名のキーワードのクリック数推移を定期的に確認してください。

流入の入口がAIに移っても、ブランド指名検索が増えていれば認知は着実に広がっています。これはAI検索時代における「見えない資産の蓄積」を示す指標になります。

AI検索時代に見るべき指標まとめ

指標 確認場所 何がわかるか
エンゲージメント率 GA4 流入の質が上がっているか
表示回数とCTRの乖離 Search Console AI Overviewの影響を推測
ブランド指名検索数 Search Console AI経由の認知拡大を推測
AI検索Referral数 GA4(カスタムチャネル) 確認できるAI流入の傾向
#:~:text=付きURL数 GA4ランディングページ AI Overview経由を推定

完璧な計測は現時点では存在しません。ただし複数の指標を組み合わせて「推測の精度を上げる」ことはできます。セッション数だけを見て一喜一憂するより、これらの指標を定期的にモニタリングする習慣の方が、AI検索時代には実態に近い判断ができます。

AI検索時代に見るべき指標
セッション数だけでなく複数の指標を組み合わせて判断する

まとめ

GA4に出ない流入がある——この記事で扱った内容を整理します。

この記事のまとめ

GA4のDirectには、ChatGPTアプリやGoogle AI Modeからの流入が混入している可能性がある

Google AI OverviewからのクリックはOrganic Searchに混在し、Search ConsoleでもAI Modeの別集計は未対応(2026年3月時点)

業種の異なる3サイトのGA4実データで、いずれも業種標準を上回るDirect比率が確認された

ChatGPT・Perplexityなど独立AIサービスはブラウザ経由であればReferralとして一部確認できる

完全な計測は現時点では不可能だが、複数の指標を組み合わせることで推測の精度を上げられる

「セッションが減った」「CTRが下がった」という数字だけを見て対策を間違えないために、GA4とSearch Consoleの限界を理解した上でデータを読む視点が今後ますます重要になります。

ゼロクリック問題の全体像については「検索1位なのにアクセスが少ない理由|ゼロクリック問題をわかりやすく解説」で解説しています。次の記事では、ゼロクリック問題がGoogle広告のCTRにどう波及するかを扱います。

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