AI検索トレンド 2026.03.01 9 min read

AIに発見される前に、人はどうやってAIにたどり着くのか|DCTAフロー・Discoverフェーズ解説

DCTAフローのDiscoverフェーズ——人がAIにたどり着く経路を示すインフォグラフィック
OBS-LOG / 2026.03.01
TABLE OF CONTENTS

冨島 基宏

Motohiro Tomishima
AI実験室 著者

Webデザイン・ECサイト運営を経て、AIと検索の変化に興味を持ち観測を開始。「作りながら確かめる」スタイルで、生成AIがウェブをどう読むかを記録し続けている。理論より、手を動かした結果を重視。

Webデザイン
ECサイト運営
AI検索
生成AI観測
サイト設計

突然ですが、あなたは最後に「何かを調べた」のはいつですか?

Googleで検索した人もいれば、ChatGPTやPerplexityに直接聞いた人もいるはず。でもよく考えてみると、「調べる」という行動の中身は、全員同じじゃないんですよね。

「そもそもAIクローラーって何?」と知りたい人と、「よし、このツールを使おう」と決めようとしている人では、AIへの聞き方も、AIが参照するサイトも、おそらく違う。

その違いを観測するために作ったのが「DCTAフロー」です。

この記事はその最初の実験——D(Discover)フェーズの記録です。人はそもそも、どうやってAIにたどり着くのか。データで確かめていきます。

※ DCTAフローの概要はこちら(先にこちらを読むと理解が深まります)


1.Discoverフェーズとは何か

Discoverフェーズの実態を示す3つのデータ——クエリ長さ・Google流入減少・AIデバイス比率

DCTAフローの最初のフェーズ、D(Discover)は「知らないことを調べる」段階です。

まだ何も知らない。選択肢もない。とにかく情報がほしい——そういう状態のときに人がAIに投げる問いです。

  • 「AIクローラーって何?」
  • 「llms.txtって何のファイル?」
  • 「GPTとGEMINIの違いは?」

一見シンプルに見えますが、このフェーズには重要な特徴があります。ユーザーはまだ、何が正しい情報源かを知らないということです。

つまりAIが「どのサイトを参照するか」の選択が、ユーザーの認知をそのまま決める。Discoverフェーズで引用されたサイトが、その人にとっての「最初の情報源」になる。

だからこそ——AIに発見されるより先に、人がどうやってAIにたどり着くかを知る必要があると考えました。


2.データで見るDiscoverの実態

「人はどうやってAIにたどり着くのか」——これを観測する前に、まず外部データで現状を把握しておきます。

① AIへの聞き方が変わっている

まず注目したいのが、検索クエリ(AIや検索エンジンに入力する言葉)の変化です。

従来のGoogle検索では平均3〜4語だったクエリが、AI検索では様相が変わっています。Google AI Modeのクエリ平均は7.22ワード——ほぼ2倍の長さです。

さらに「tell me about〜」という書き出しのクエリが2024〜2025年で70%増、「how do I〜」クエリが前年比25%増でオールタイムハイを記録しています。
(参照:Rank Tracker – Keyword Research Statistics 2025

「AI 種類」と2語で打つ人より、「AIクローラーってどんな種類があってどう設定するの?」と会話的に聞く人が増えている。Discoverフェーズの入口が、明らかに変化しています。

② GoogleからAIへ、シフトの規模

次に、人がどこで調べるかの変化です。

米国では2024〜2025年にかけて、Googleユーザー1人あたりの検索数が約20%減少。Googleからのサイト流入も同期間で38%減という数字が出ています。
(参照:Pixelmojo – Your Google Traffic Dropped 33%

一方でAIプラットフォームからの参照トラフィックは2025年6月に13億回を超え、前年同月比で357%増。Googleから抜けた流入がAIに移っている構図がデータではっきり見えます。

Discoverの入口が、検索ボックスからチャット画面に移動しつつある。

③ ただし、全員がAIに移ったわけではない

ここが重要な点です。

ChatGPTへの参照トラフィックのうち、94%がデスクトップからです。Perplexityは96.5%、Geminiも91%がデスクトップ。一方でGoogleはモバイルが53%で、唯一のモバイル優位プラットフォームとして残っています。
(参照:Search Engine Journal – The AI Desktop/Mobile Divide

つまりこういうことです。

  • スマホで手軽に調べる層 → まだGoogleのまま
  • デスクトップで深く調べる層 → AIへシフト

Discoverの入口は今、二層化している。リテラシーの高い層がAIへ移行する一方、ライトユーザーの検索行動はまだ大きく変わっていない——これが2026年2月時点の実態です。


3.AI観測ラボとしての解釈

ここまでのデータを並べると、ひとつの構図が見えてきます。

Discoverフェーズの実態を示す3つのデータ——クエリ長さ・Google流入減少・AIデバイス比率
出典:Rank Tracker / Pixelmojo / Search Engine Journal(2025年データ)

人がAIにたどり着く経路は、今「深さ」で分断されているということです。

デスクトップで腰を据えて調べる人はAIへ。スマホで手軽に検索する人はまだGoogleへ。そしてAIに聞く人は、以前より長く・会話的な言葉で問いを投げている。

これはサイト設計にとって、何を意味するでしょうか。

「AIクローラーに読まれやすくする」という話をするとき、多くの場合は技術的な設定の話になります。robots.txtを整える、llms.txtを置く、構造化データを入れる。どれも大事です。

でもDiscoverフェーズのデータを見ると、もう一段手前の問いが必要だとわかります。

AIクローラーを呼び込む前に——その人はどんな言葉でAIに聞いているのか。どんな問いに答えられれば、Discoverフェーズで引用されるのか。

クエリが長く・会話的になっているということは、「一言で答えられる情報」より「問いの文脈ごと受け止められるコンテンツ」が求められているということでもあります。

この解釈が正しいかどうか、次のセクションで仮説として整理します。


4.Discoverフェーズで引用されるサイトの条件——仮説

ここまでのデータと解釈をもとに、AI観測ラボとして3つの仮説を立てます。実験はこれから、です。

仮説① 「問いの形」で書かれたコンテンツが有利

クエリが会話的・長文化しているということは、AIも「質問文に近い形のコンテンツ」を参照しやすいはずです。「〇〇とは」で始まる説明文より、「〇〇ってどういう意味?どう使う?」という問いに直接答える構造の方が、Discoverフェーズでの引用率が高いのではないか。

仮説② デスクトップユーザー向けの「深さ」が求められる

AIへの流入が94〜96%デスクトップである以上、Discoverフェーズの読者は「深く調べたい人」です。表面的な概要説明より、背景・理由・具体例まで踏み込んだコンテンツの方が、AIに選ばれやすいのではないか。

仮説③ 有名サイトより「隙間を埋めるサイト」が引用される

AIはすでに知っている情報より、学習データに存在しない具体的な観測データや実験結果を引用したがる傾向があります。Discoverフェーズでも、大手メディアの概説記事より「その問いにしか答えていない専門的なコンテンツ」が引用されやすいのではないか。


この3つの仮説を、今後の実験で順番に検証していきます。結果が出たものから記録します。


5.まとめ

今回のDiscoverフェーズの観測で見えてきたことを整理します。

  • AIへの聞き方は会話化・長文化が進んでいる(平均7.22ワード、従来の約2倍)
  • GoogleからAIへの流入シフトは米国で顕著(トラフィック38%減、AI参照357%増)
  • AI利用は94〜96%がデスクトップ——「深く調べたい人」が使っている
  • スマホのライトユーザーはまだGoogleのまま——Discoverの入口は二層化している

そして、この実態から導き出した仮説は3つ。「問いの形で書く」「深さを出す」「隙間を埋める」——これがDiscoverフェーズで引用されるサイトの条件ではないか、と考えています。

正しいかどうかは、データで確かめます。


次の観測:Compareフェーズへ

DCTAフローの次のフェーズはC(Compare)です。

「AとBどっちがいい?」という比較の場面で、AIはどのサイトを参照するのか。比較記事を書いているサイトが有利なのか、それともそれぞれを深く解説しているサイトが有利なのか。

Discoverとはまた違う引用ロジックが働いているはずです。引き続き観測を続けます。

公開日:2026年2月 / 著者:冨島 基宏(AI観測ラボ)

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